内受容感覚

2026年08月07日 23:16

内受容感覚

昨日記しましたように、生命形態学が提示した「内臓系」と「体壁系」では動物が持つ組織の系統は「心臓」と「脳」という双極に分かれ、それは人において「心(本能、情動)」と「精神(理性、知)」の葛藤として現れることもあります。

厳密な科学的見解とは言えませんが、三木先生の身体構造を読み解く目は「進化の記憶」や「リズム」の現れとして、時空間的全体像のスケールを捉えています。
瞑想的領域に関与する者にとっては大変示唆に富む、身体音楽、身体詩のような深く壮大な洞察です🙂

海から上陸し、ヒトとなっていった私たちの身体は億年単位の生物の歴史の全てが今ここに立ち現れているものであり、リズムを生き成長し、繋いでいることに途方もない時間の堆積を思わずにいられません🌊

「動物性器官」の働きは主に「意識的制御(体性神経系)」を司り、「植物性器官」は主に「無意識的制御(自律神経系)」を司ると捉えられます。

体調、気分の良し悪し、緊張と緩み、尿意や便意、空腹感や満腹感、一般的に感じ取られるこれらの感覚を「内受容感覚」といい、身体内部の状態を捉える感覚のことです。

「内受容感覚」は意識レベルのものと無意識レベルのものに分けられますが、人により、また状況状態によってはこの内受容感覚が鈍り、また過敏故に疾患を招くこともあります。

ヒトの感覚は以下の3つで構成されています。

👺①「特殊感覚」
感覚器である眼(眼神経)、耳(聴神経)、鼻(嗅神経)、舌(顔面神経、舌咽神経)、内耳(前庭神経)に由来する視覚、聴覚、嗅覚、味覚、平衡感覚
三木先生はこれらの五感も、その発生の古さと位置構造から、時空間的重層を見られました。
・「遠隔感覚」視覚、聴覚 
 原始感覚より新しく、認識→判断→距離をとる等、動物性の働き
・「原始感覚」味覚、嗅覚 より古く、対象に触れ取り込む
これは古くから引き継ぐ、「食と性」の植物性の働き
練功では平衡感覚を微妙に取り続け、中庸・均等を図る過程で生まれる「波動」が重要となります🧍


👺②「体性感覚」
・表面感覚 触覚、圧覚、痛覚、冷・温覚など皮膚感覚
・深部感覚 筋や腱、骨、関節などで知覚される運動感覚や振動感覚、位置感覚など
正中心練磨へと進む過程では、この深部感覚をより繊細に開発していきます。そして統一された自己受容感覚の深み、拡がりとして、身体や環境に反映させていきます。


👺③内臓感覚
動悸、胃痛、胃もたれ、胸焼け、胸の痛み、腹痛、膀胱感覚、などは皆様お馴染みのことと思います。
ここで、三木先生はこの内臓感覚が「心」「情」を生むとされました。
腹が立つ、肚が据わる、腑に落ちる、胸が痛む、胸が空く、胸騒ぎなど、臓腑に纏わる表現は多々ありますが、これは単に比喩ではなく、実際の内臓の働きから生じることを論じられました。
そして食と性にまつわる事象に出会う時に湧くもの、これを生にとって最も深く根源的な情動とされました。
練功でもこの「内臓から生まれくる様々な情動」をつぶさに見ることとなります🙂
そして「内臓波動」への感受性も開かれ、内外の調律を行っていきます。
熟練の方にみられる「感情発生」への対処の迅速さは神経反応レベルの速さです。


感覚受容器が感知した感覚刺激は、脊髄を経緯し小脳と視床に伝達され、最終的に大脳に伝わります。
内受容感覚が過敏ですと、対処スキルを身につけない場合、私も経験がありますが過敏性腸症候群、パニック障害などの症状となったりします。
しかし鈍ればまた心身ケアの遅れともなります。
トラウマケアや発達障害者の感覚過敏なども絡む領域で、知覚の繊細さの扱いは重要です。
しかし社会的機能では繊細さが劣性に働いてしまう事も起こり、当事者にとってなかなか難しい課題でもあります。

仙道の修業では各内臓とコミュニケーションをとることで、内受容感覚の健全化を培っていました🫀
正中心練磨への練功は、この内受容感覚も開発しながら、より靭やかで強い心身バランスを得、広く深い自己受容へ向かう道程といえます🌠


三木成夫 内臓とこころ

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